NOSAI岩手 (岩手県農業共済組合)
農業共済新聞 岩手版・東北営農技術版
2015年4月3週号岩手版
今春から農事組合法人に
理想の村づくりへ前進
花巻市 町井アグリフレンド・ファーム

「笑って暮らせる村づくりをしていきたい」
と薄衣事務局長
【花巻市】
 
昨年度まで集落営農組織として取り組んでいた、花巻市東和町町井集落の「町井アグリフレンド・ファーム」(薄衣利幸代表理事組合長、組合員33人)は、昨今の農業情勢や今後の集落営農のあり方を踏まえ、さらなるステップアップを見据えて先ごろ、設立総会を開いて農事組合法人としてスタート。現在、本格的な営農に向け準備の真っ最中だ。

 法人化前の同生産組合は2004年4月設立で、集落内の農地約30㌶で主食用米や米粉用米、飼料用米、大豆、ハトムギ、エダマメ、生食用トウモロコシや乾トウモロコシなどを栽培している。特に、生食用トウモロコシやエダマメは企業と直接契約栽培していて評判も上々だ。
 米粉用米を使ったパンも製造して地元産直施設などで販売して地場産加工品の普及に努めるほか、都市部との交流も積極的で、グリーンツーリズムで中高生を積極的に受け入れ、農業体験学習や地場産の米や大豆を使った「パンづくり教室」や「みそづくり教室」を開くなど、集落全体で都市部への地場産加工品の普及拡大も図っている。
 
 こうした地域ぐるみの活動が高く評価され、地域独自の施策展開や環境への配慮など、農村振興、活力と個性ある地域づくりに取り組んでいる地区や団体を対象にした「農業農村整備優良地区コンクール」(全国水土里ネット主催)で昨年度、農村振興整備部門で県内初となる農林水産大臣賞を受賞した。
今後の法人の営農について、薄衣忠孝事務局長(62)は「米の生産は、いつかは限界のときが来ると危惧している。これからは米以外の作物で、都市部で何を求めているか調査し、作物を作るだけではなく、加工して付加価値を高め、それを必要としているところに顔が見える販売をしていきたい」と夢をふくらませている。
 法人設立については「法人化したことで責任は重くなったが、集落営農は『結いの精神』が基本。集落内の老若男女で夢を語り合い、笑って暮らせる村づくりをしていきたい」と話し、忠孝さんは今後「集落内にいる次世代の若い後継者育成に没頭したい」と夢を語ってくれた。(上川)